企業がインターネットを使う際は、法人向けインターネット回線で契約するのが一般的です。
しかし業務用回線だからと言って、インターネットを常時快適に使えるわけではありません。ではどんな理由で回線が不安定になるのか、考えられる原因の一部を紹介していきます。
先ずは家庭用回線との違いを知っておこう
インターネット接続の快適性を考える場合、先ずは法人向けと家庭向けの回線の違いを把握しておく必要があります。
「当然、業務用なのだから安定性に優れているだろう」といったイメージをお持ちかもしれません。実際、理論的に家庭用の通信トラフィックと分離するなど、快適性の向上を図っているプロバイダもあります。ですが、基本的には領収証の発行に対応したり、ずっと同じIPアドレスを固定して使えるのが最大の違いです。
どちらも業務でインターネットを使用するには不可欠な要素ですが、回線の快適性とは特に関係ありません。つまり法人向けインターネット回線だからといって、全てのプロバイダで安定性が強化されているわけではないのです。物理的には回線自体も家庭向けと同じ物を使いますから、不安定になる原因は概ね家庭向けと同様になります。
そのため、システム上全く問題がなくても大勢のユーザーが利用するなど、通信帯域が圧迫されている状態なら、アクセススピードが低下したり、サーバーとの接続が上手くいかないケースがあるのです。
時間帯によって速度にバラつきがある際は、大抵これが原因と言えるでしょう。この場合は不可抗力なので、接続する時刻をズラすか、素直に諦めるしかありません。ただし、それは端末の設置数や、業務で使用する通信量に見合った回線を導入していることが前提です。
もしもコストを優先して格安プランなどで申し込んだ場合は、契約した回線が元々低速である可能性があります。その回線に対して大勢の従業員が一斉にインターネットへ接続すれば、通信速度が下がらない方が、むしろ不思議かもしれません。
仮にこの場合なら、業務上の通信量と見合ったプランに変更するか、もしくは回線数を増やして分散化するなど、何らかの対策を検討した方が良いと思います。
マルウェアも快適性を損なう大きな原因
「システムに異常はなく、契約プランも適切なのに不安定」といった場合はマルウェアの感染が疑われます。
端末の感染と言えば画面が真っ青になり、操作不能に陥るブルースクリーンなども有名です。そうした攻撃的なウィルスなら感染したことも一目瞭然なのですが、それとは別に、情報収集を目的としたタイプもあります。
こちらは感染した事実がバレないよう極めて隠密に行動するため、ユーザーはそのことに気づかないのが一般的です。とはいえ、裏では無断でアクセスを行っていますから、そのデータ量が多ければ通信帯域を圧迫してしまい、回線が不安定となります。
それらはスパイウェアと呼ばれ、インターネット上に溢れているため、普段から検知、および予防に取り組むのが肝心です。と、言うのは簡単ですが、スパイウェアはアンチウイルスソフトでは検出できない場合が多くなっています。
レジストリにも書き込みを加えるなど、やっていることはトロイの木馬タイプのウィルスと非常に似ています。実際、銀行口座やカード情報を狙うタイプもあるなど、軽視できない存在です。ところが、スパイウェアは一般企業が提供しているパターンも多く、全てが違法ソフトというわけではないのがむしろ厄介と言えます。
その場合、作者不詳のウィルスと違い、身元を明かした状態でパソコンなどに組み込まれます。ほかのデバイスへ伝染せず、危険性がなければ一概にウィルスと定義できないため、アンチウイルスソフトでは対処し難くなっているのです。
スパイウェアを検出して撃退するアンチスパイウェアもあるのですが、一度もスパイウェアを駆除していない場合は、こんなにも入っていたのかと驚くかもしれません。スパイウェアが原因で回線が不安定になっていた場合は、それで改善できる見込みがあります。何よりスパイウェアは回線を占領するばかりか、常駐数が多ければそれだけメモリーやCPUを使うため、処理が重くなることでも不安定になるのです。
しかし、だからと言ってアンチウイルスソフトやアンチスパイウェアを、沢山インストールするのも賢明ではありません。入れ過ぎれば今度はそれが原因で、インターネット接続に障害が出る場合があります。
ちなみに、マルウェアはウィルスやスパイウェアなど、ユーザーにとって不利益とも呼べるプログラムの総称です。
無線LANルーターも意外と原因になりやすい
無線LANを使用してインターネットに接続している場合ですと、ほかの機器が出す電波干渉によっても接続状況が悪くなります。また、電波干渉がなくても、端末と無線LANルーターとの距離が離れていれば、同様に接続状況が悪化するのです。
そのほかファームウェアをアップデートせず、旧バージョンのまま無線LANルーターを使っていますと、端末との整合性が下がり、インターネット接続に支障を与えるケースもあります。
法人向けインターネット回線が不安定になる原因はまさに様々ですが、やはり回線が混み合うタイミングでの接続は、快適性も落ちる傾向があります。
また、インターネット回線は通信量をカバーできるプランで契約するのが肝心で、この点を誤れば快適な接続環境は期待できません。そして、見逃せないのが通信帯域を圧迫するスパイウェアなどの存在です。裏でアクセスを行うマルウェアは接続状態を悪くする原因ですから、極力駆除しておきたいところです。
そのほか、無線LANを使用している場合は電波干渉、およびファームウェアが古いことでも、インターネット接続が安定しない場合もあります。