法人向けインターネット回線はクーリングオフの対象になるのか

公開日:2021/04/01 最終更新日:2026/06/09

お買い物の際につい不要なものを買ってしまい、返品したことのある人は少なくないでしょう。訪問販売や電話販売で巧みなセールストークにつられて契約してしまって冷や汗をかいたが、クーリングオフを使って救われた経験もあるかもしれません。では、法人向けインターネット回線の契約の場合は、クーリングオフの対象になるのでしょうか?

クーリングオフ制度とはどのようなものか

そもそもクーリングオフとは、法で定められた一定の期間内であればすでに取り交わした契約を撤回したり、解除できる制度です。電話勧誘や訪問販売によって物を買った場合だけでなく、語学スクールやエステのプランを契約した場合にも適用できます。

金融商品の中にも適用できる場合があることから、どのような契約にでも使える便利な制度の様ですが、実はそうではありません。たとえば、通信販売にはクーリングオフ制度はないため、それぞれの契約に付随する特約によって契約の解除や撤回のルールは違っています。そして、残念ながら法人向けも含めて、インターネット回線の契約も通信販売と同じように、クーリングオフ制度の対象外なのです。

インターネット回線にはクーリングオフが適用されませんが、代わりに「電気通信事業法」に基づく「初期契約解除制度」という仕組みがあります。これは、契約書面を受領した日から8日以内であれば、契約者の都合で契約解除ができる制度です。

しかし、ここで注意が必要です。この「初期契約解除制度」は原則として個人(消費者)を保護するためのものであり、法人名義の契約は原則対象外となっています。ただし、契約内容や事業者の規約によっては、個人と同様のキャンセル規定を設けているケースもあります。

どうすればクーリングオフできるのか

契約してしまった法人向けインターネット回線はどのようにすれば解約できるのでしょうか。まずは契約書面を確認し、 「初期契約解除制度」または「確認措置」 に関する記載があるかチェックしましょう。

二つの大きな違いは自己負担の金額です。初期契約解除制度が適用されるサービスであった場合は、契約自体を解除できても、既に行われた工事費用や端末の料金、契約時にかかった事務手数料などは契約者が負担することになります。確認措置は、事業者にもよりますが、電波が不充分であったり、契約時にきちんと説明が行われなかった場合に適用されます。この場合、違約金の支払いは不要です。

「8日以内に手続きしないといけない」「すぐに契約を解除したい」とあせっても、電話では初期契約解除を完了できるわけではないので注意が必要です。電話では証拠が残らないため、言った言わないのトラブルに発展しやすいという点でもよくありません。サポートセンターがある事業者があるならまずはそこに連絡して、負担の少ない確認措置やそれに準じた事業所独自のサービスに該当していないか確認しましょう。

そして、トラブルを避けるために必ず書面(ハガキや封書)で意思表示を行いましょう。

うっかり契約してしまわないように

法人向けインターネット回線においても、強引な電話勧誘や訪問営業によるトラブルは後を絶ちません。「営業の人から説明を聞いただけでは契約にならないだろう」と思って電話口ではいはいと答えてしまうケースもありますが、契約は口頭でも成立してしまうことを覚えておきましょう。

インターネット契約の問題で多いのが、はじめに聞いた話よりサービス料が高額であったり、契約解除に多額の違約金が必要だとあとからわかったケースです。通信サービスの契約内容は複雑で、電話や訪問の営業員の流れるような説明を一度聞いただけでは理解しきれない人がほとんどです。そのような勧誘があった場合には、その場で返事をせず、パンフレットや重要事項説明書を要求する、他社のサービスと料金・スペックを比較する、社内で検討する時間を必ず設けるなど、上記を徹底することで、不適切な契約を未然に防ぐことができます。

「パソコンなどの機器を同時に購入すると大幅な割引がある」「期間限定の限定価格で提供している」と特典があることを強調されることもあり、これは常に費用削減を心がけている企業にとっては魅力的ですが、先々のことを考えて短慮はおこさないように気を付けましょう。また、インターネット回線だけではなく、スマートフォンやモバイルWi-Fiなどの導入時も「電気通信事業法」は適用されます。

 

生活スタイルの変化に合わせて、契約やそれにまつわる法律も日々変化しています。クーリングオフ制度に関することだけではなく、法人向けインターネット回線を契約する際には書面をよく確認し、思わぬ落とし穴にはまらないように気を付けましょう。万が一トラブルに発展しそうな場合は、早めに弁護士や 「電気通信消費者相談センター」などの公的機関に相談することをおすすめします。

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