法人向けインターネット回線のSLAってなに?
近年はいろいろなソフトがクラウド化するなど、企業にとってインターネット環境はますます手放せないものになってきました。しかし、ネット接続の安定性やスピードに問題が生じることも少なくはなく、悩んでいる経営者・担当者もあるかも知れません。そのようなときにチェックしておきたいのが、ネット接続各社が用意しているSLAと呼ばれる存在です。
ネット接続の品質を保証するのが特徴
SLA(Service Level Agreement)は日本語にすると、サービス・レベルの契約・同意と言うような意味合いになります。何らかのシステムを契約する際、提供側と顧客側が予めどの程度の品質を維持すべきかを決めておくのです。
法人がおこなう何らかの契約につき、一定レベルの品質を保証することで信頼性を得るのが、主な狙いとなるでしょう。コンピューター関係のシステム全般で使われている言葉で、特に法人向けインターネットでは多数の会社が用意するようになってきました。
ネット接続は実際の所、カタログスペックの最大値を達成している会社は多くなく、契約したものの思ったよりパケット損失があったとか、度々障害が生じて接続できなくなるなどのトラブルもなくはありません。特にパケット損失は帯域制限の影響で、度々発生してしまうケースがあったりもします。
パケット損失は一般的に、契約している通信帯域に比べて大きなファイルを送信するようなケースで問題が生じやすいです。ファイルサイズに比べて通信帯域が小さいため、過度なトラフィックがかかってしまい、送信したデータにロスが生じてきます。もちろん、法人でそのような現象が見られるのでは、ビジネスに大きな影響があるでしょう。
契約して回線を開通してみたらパケットロスが多くて安定しないのでは、全くニーズを満たしてくれないこともあるはずです。そこで、SLAによって、一定水準のパケット損失に抑えることが、クライアント側としては重要となってきています。
パケットロス以外にもいろいろな要素を保証
法人向けインターネット回線においては多彩な要素につき、SLAによる保証が用意されることが増えてきています。
まず、パケットロスに関しては月平均で0.2%を超えないと言ったルールを決めることが多いです。パケットロスが増えてくるとデータの再送信頻度が高まるので、結果的に通信速度も低下しかねません。特に高速な接続環境を希望するときには、要チェックと言えるでしょう。
次に、障害回復期間が設定されていることが多くなっています。こちらはネット通信に関する障害が検知された場合に、復旧までどの程度の時間を要するかを決めておくものです。一般的には故障が見つかってから、15分から30分以内に復旧し、それをオーバーすると一部返金対応になることが多くなっています。なお、障害が発生して利用不可能になった段階で、返金になるようなサービスも見当たりました。
障害通知時間も多くのサービスで設定されています。これは文字通り、ネット接続などに関するトラブルが見つかってから、何分以内に通知するかを決めておく項目です。
後は遅延時間もSLAに盛り込まれていることが多くなっています。遅延時間はネットワーク接続では物理的に避けられない現象ですが、あまりにも遅延が大きいと困るケースもあるでしょう。そこで、月間平均何ミリ秒まで抑えると言うようなルールが盛り込まれます。
ちなみに通信帯域はこの取り決めに含めず、別のルールを設定しているケースが多いです。一般的に帯域保障と呼ばれており、別枠で設定されているのが基本となります。こちらは通信速度をカタログ最大値の何%まで確保するかを決めておくのが特徴です。上記の各種保証と併せて、検討しておきましょう。
SLAの保証水準を下回ったらどうなるの
SLAにいろいろな保証項目を盛り込んでいても、必ずしもそれが達成できるとは限りません。今回は保証と言うことで合意したのですから、提供側がそれを破るとペナルティーが生じてくることになります。つまり、約束を守れなかったら何らかのペナルティーがあると言うことで、提供側はそれを避けるためにサービス品質の安定・向上に努めることになるわけです。
ペナルティーは基本的に、契約金の一部返金を用意されています。達成できていない項目があれば、月額料金のうち数十分の1程度が返金されると言うわけです。返金額については各社で異なりますので、契約前に確認しておくことがおすすめできます。
今回は法人向けインターネットサービスのSLAについて紹介してきました。信頼性を重視したいときには、しっかりと各種保証を盛り込んだ会社を探していくことが大切です。
なお、どのような保証をおこなっているかは注目したいポイントですが、併せて実測値も調査しておきましょう。遅延時間やパケット損失などにつき、実際のデータを公開している会社があるため、目を通しておくと参考になります。
インターネットは開通するのにいろいろな費用がかかるケースもあり、解約するのも簡単ではありません。一度決めてしまうと後戻りが難しいので、いろいろな要素に注目しつつ、ポイントを抑えて比較検討していくのがおすすめです。
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サービス名 (会社名) | 光ビジネスアクセスNEXT(株式会社USEN ICT Solutions) | フレッツ光ネクストビジネスタイプ (NTT東日本・NTT西日本) OCN光「フレッツ」(OCN) | イーサシェア(KDDI株式会社) | イーサネットアクセス (S)(ソフトバンク株式会社) | NUROアクセス スタンダード(ソニービズネットワークス株式会社) |
連絡先 | 0120-681-617 | 03-5359-5111(東日本) 0120-116116(西日本) 0120-106107(OCN) | 03-3347-0077 | お問い合わせフォーム | 0120-963-350 |
回線タイプ | ベストエフォート | ベストエフォート | ベストエフォート | ベストエフォート | ベストエフォート(一部帯域確保) |
通信速度 | 上り:最大1Gbps 下り:最大1Gbps | 上り:最大1Gbps 下り:最大1Gbps | 上り:最大1Gbps 下り:最大1Gbps | 上り:最大1Gbps 下り:最大1Gbps | 上り:最大1Gbps (10Mbps確保) 下り:最大2Gbps (10Mbps確保) |
提供構成 | 専有型 | 専有型 | 専有型 | 専有型 | 共有型 |
提供エリア | 全国主要都市部 (1道1都1府7県) | 全国 | 関東エリア (東京・埼玉・千葉・神奈川の一部) | 全国 | 関東:1都6県 東海:4県 関西:2府3県 九州:2県 |
参考価格 :月額費用 | 4万6,200円(税込) | 4万5,210円(税込) ※別途プロバイダ利用料金が必要 | 33万円(税込) | 858万円(税込) | 2万735円(税込) |
参考価格 :初期費用 | 5万8,300円(税込) ※工事費別 | 2万680円(税込) | 3万4,650円(税込) | 11万3,850円(税込) | 22万3,300円(税込) ※2年継続なら実質無料 |
SLA(品質保証制度)対象 | 遅延速度 可用性 | 遅延時間 故障通知時間 故障回復時間 パケット損失率 | 遅延時間 | 遅延時間 可用性 | 稼働率 |
トラブル対応 サポートの仕方 | 24時間365日の電話受付(トラブルきりわけ・復旧支援)と、必要に応じて現地への駆けつけ対応 | 「24時間出張修理オプション」:月額3,300円(税込)で、24時間故障受付可能 | 故障申告受付と故障復旧作業を24時間対応 | 24時間365日の監視・保守を標準提供。回線終端装置は、常時監視により迅速な復旧を24時間365日対応 | 24時間365日対応のオンサイト保守が標準装備。障害の発生箇所の調査や問題の切り分け、現地での保守対応も可能 |
その他特徴 | ネットワーク全体を管理し、バックボーンを定期的に増強するため、通信環境が安定している | バックボーンは国内最大級。常に高品質で安定したインターネット環境を提供できる | Webブラウザを利用し、日々の通信状況をチェックできるトラフィックレポートを標準付属 | バックボーン内の機器・回線の二重化による障害対策および、通信の優先制御を行うことで信頼性・安定性を実現 | 環状に交換設備を接続するリング型構成になっており、1つの区間で障害があっても逆向きの接続で伝送することが可能 |
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