ネットワーク接続の「IPoE方式」と「PPPoE方式」の違いとは?

公開日:2023/07/15 最終更新日:2024/06/14


現代のデジタル社会において、インターネット接続は重要な役割を果たしています。この記事では、2つの主流な接続方式、IPoEとPPPoEについて詳しく解説します。また、メリット・デメリットについて、IPv4・IPv6との互換性についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

IPoE方式・PPPoE方式の違い

インターネット接続方式には、高速で直接的な接続を可能にするIPoE方式と、古くから存在する安定したPPPoE方式の2つがあります。これらの違いを理解することで、自身のネットワーク環境を最適化するための参考になります。

IPoE方式

IPoE方式は「IP over Ethernet」の略称で、Ethernet(イーサネット)を利用してインターネットにダイレクトに接続する方法です。企業内のLANと同じ通信規格を用いています。IPoE方式の特徴はそのスピーディーさとシンプルさです。パスワードを要求しないため、設定が容易であり、また大容量のデータも素早く送受信できます。

PPPoE方式

一方、PPPoE方式は「PPP over Ethernet」の略で、PPP(Point-to-Point Protocol)をEthernet上で適用した接続方式です。ダイヤルアップ接続時代から存在し、その安定した接続性が特徴です。しかし、PPPoE方式では接続時にパスワードの認証が必要となるため、設定は若干複雑になります。また、データ送受信速度はIPoEに比べて劣ります。

IPoE方式・PPPoE方式のメリット・デメリットを比較

現代のインターネット接続技術には、IPoEとPPPoEの二つの主要な方式があります。それぞれにはメリットとデメリットが存在し、一概に優れているとは言えません。それぞれの特性を理解し、自身のニーズに合った接続方式を選択することが重要です。

PPPoE接続は、古くから使用されてきた方法です。信頼性と既存のインフラへの適応性が最大の長所といえます。また、ONUを使用することで、光信号とデジタル信号の変換が可能です。

しかしながら、このONUのデータ処理能力には限界があり、それがPPPoEの接続速度を制限しています。さらに、接続ごとにパスワードを入力する必要があるため、一部のユーザーからは設定の煩わしさとして捉えられることもあります。

一方、IPoE接続は新しい形の接続方式で直接的でシンプルな仕様のため、IPoEではONUを経由せず、より速度制限の少ない接続が可能です。また、ユーザー認証のプロセスが必要ないため、設定は比較的簡単です。以下に、IPoE接続の主なメリットを3つ挙げます。

高速通信

IPoE接続は最大で10Gbpsの高速通信を可能にします。理論上の最大速度であり、実際の通信速度は利用状況や時間帯によって異なりますが、PPPoEよりも通信速度が高速化することは確かです。

安定性

IPoE接続は、ONUを使用せず、ダイレクトにインターネットに接続するため、通信の遅延が少なくなります。使用者が多い時間帯でも安定した接続を提供し、動画視聴などの大容量のデータを扱う際にも安定した通信が可能です。

簡単な設定

IPoE接続は、認証のためのユーザー名やパスワードの入力が不要で、設定がシンプルです。さらに、プロバイダーが提供する機器を使用すれば、装置の準備も不要となるため、ユーザー負担が少なくなります。

それぞれの接続方式に対応するIPv4・IPv6とは?

インターネットにおける接続方式について知る際に、IPv4とIPv6の概念についても知る必要があります。それぞれの特性を理解し、対応する接続方式と影響を知ることが重要です。ここでは、IPv4とIPv6について、また互換性について解説します。

IPv4ついて

まず、IPv4は現在も広く使われているIPアドレスの規格で、全世界で約43億のアドレスを割り振れます。しかし、接続するデバイス数の増加により、このアドレス空間は枯渇しつつあります。IPv4は一般的にPPPoE接続と共に使用されますが、ONUの混雑による通信速度の低下が問題となっているのです。

IPv6ついて

対して、IPv6は新たなIPアドレスの規格で、1兆倍の1兆倍を超える膨大な数のアドレスを割り振ることが可能です。IPv6はPPPoEに加えて、IPoE方式にも利用できます。IPoE接続はIPv6を使うことで、より安定した通信を提供します。

IPv4とIPv6の互換性について

しかし、IPv4とIPv6の間には互換性の問題が存在します。IPv6の普及が進む一方で、まだIPv4のみに対応したウェブサイトも多く存在し、これらにはIPv6からは接続できません。この互換性問題を解決するための技術として「IPv4 over IPv6」が提案されています。IPv6でインターネットに接続することが可能なまま、IPv4のみに対応したウェブサイトの時には自動的にIPv4に切り替えられます。

まとめ

IPoE方式とPPPoE方式が主流です。IPoEはEthernetを利用し、直接的かつ高速な接続が可能です。対してPPPoEは認証が必要な安定した接続を提供しますが、速度はIPoEより劣ります。それぞれの接続方式は特長と制約があり、適切な選択は個々のニーズによります。IPアドレスの規格、IPv4とIPv6によって方式を選ぶことが必要です。IPv4は43億のアドレスを割り振る能力がありますが、アドレス空間は枯渇しつつあります。一方、IPv6は莫大なアドレス空間を提供し、高速なIPoE接続もサポートします。しかし、IPv4とIPv6の間の互換性問題があり、IPv6からはIPv4専用のウェブサイトにアクセスできません。これを解決するためにIPv4 over IPv6という技術が提案されています。

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