ここではシステム担当者が、法人向けインターネット回線の導入を進めるときに必要な知識を紹介します。大規模な回線の入れ替えなら、システムを運用する担当者としても会社としても大きな決断になります。各社の導入事例にもあるように、会社の業務の特色を理解して慎重に選ぶ事が大切です。
法人向けインターネット回線とは?
法人向けインターネット回線とは、SOHO・個人事業主や中小企業、そして大企業に導入するより質の高いインターネット回線です。具体的には、プロバイダ側で一般よりも高い最低限の通信速度を確保していたり、独自のセキュリティ機器でユーザーネットワークの手前でウィルスを遮断していたりするものがあります。
その他では、24時間365日のトラブルサポートの役割が大きいです。たとえば、有名な家の防犯サポートでもより重要な家や企業には必ず設置してあります。その防犯ブザーにも専用回線は使用されていて、24時間365日監視しています。それと同じように、法人向けインターネット回線を使う場合は、それだけ価値の高いサービスや守りたい機器などがある場合に適しています。
反対にそこまでのセキュリティは必要なければ、通常の光インターネット回線でも充分です。品質自体は、実際にはそれほど両者とも変わりません。でも、法人向けインターネット回線には「固定IP」というサービスがあるので、メールサーバーやウェブサーバーを立ち上げるときには必要になります。
それこそ、SOHOのような個人オフィスから大企業まで、回線の数は違いますが仕組み的には同じです。大企業になるほど、より高度なセキュリティやクラウドアプリケーションとの連携が可能です。また、サポートもより強化され、すぐに駆けつけてくれるサービスもあります。
法人向けインターネット回線を導入してどこを改善したいのか?
企業や個人で回線を新しくしたい場合は、現状から法人向けインターネット回線にするとどう変わるのかが一番気になるポイントだと思います。ですから、最初にどこを改善したいかを簡単に考えておくのも有効な方法です。たとえば、多接続時にアクセスが遅くなったり、通信品質が悪くなったりするのを改善したい場合です。
その他では、たとえばNTTのサービスなら、クラウドや遠隔操作などNTTのノウハウを活用する方法がたくさんあるので、より品質の高い法人向けインターネット回線を活かすことができます。難しい技術的な事は不明ですが、回線の専用化により個人向けよりも安定で高速な回線を実現しています。
たとえば、以前は通常の光回線を導入して無線ルーターでやり取りしていたとします。これを法人向けに変えることで、ルーター自体もIPv6の最新版に対応し、安定性と速度も向上します。そして、法人向けは最低でも2セッション(固定IPと変動IP)の回線が使用できるので、専用端末やサーバーなどの大切な機器には専用IP回線を使用する事ができます。
そうすることによって、負荷のかかる処理はそちらの専用回線にまかせ、社員のPC等は無線ルーターで使用することでより効率的に回線を使用できます。ですから、法人向けインターネット回線を導入したい場合は、まずは専用回線化したいサービスや機器を中心に考えるといいでしょう。
インターネット回線導入時にシステム担当者のやるべきこととは?
システム担当者は、自社のオンプレミスで各種サーバーを担当しているのなら、工事の方法や工程などもあらかじめ知っておいた方がいいでしょう。システム担当者は、そこのところはあまり分からないでしょうが、日々さまざまな業者が入れ替わり立ち替わり作業している場面を見ているはずなので、床下の構造などもある程度は理解しているはずです。
そして、ONUをどこに設置するのか、ルーターを新しくしたらどのようにセッティングするのかなど、さまざまなことを考慮しなくてはいけません。それこそ、工事当日の立ち会いから、回線の切り換え対応などやる事はたくさんあります。ネットワークやサーバーが一時的に止まるのなら、事前にアナウンスしておく必要がありますし、事前の打ち合わせは重要です。
工事業者はただ、回線を変更するだけなので、自社のサーバーやパソコンのことや業務に関してはまったく知りません。ですから、業務を止めずに円滑に回線を導入するように指示するのがシステム担当者の役目です。ネットワーク管理者もいますが、こちらはネットワークの設定や設計が専門なので回線自体については手を出さない場合もあるからです。
そのため、システム担当者はただプログラミングや技術を知っているだけのオタクタイプでは務まらず、社交的でプロジェクトをまとめられるような人材が望ましいのです。規模の小さな会社なら、他の部署の社員と協力して会社の回線導入を進めるのがポイントです。
さてここまで、システム担当が法人向けインターネット回線の導入を進めるときに知っておきたい知識について説明してきました。システム担当者は、とにかく回線導入時にサービスを止めないことを最優先に考える事が大切です。そのために、工程表などを作成することも有効です。