インターネット回線を使うときには不正アクセスを受けてしまうリスクが常に懸念されます。企業の場合には事業に関わる機密情報や顧客情報などが漏洩してしまうと事業を続けられなくなる可能性すらあるのは確かでしょう。法人向けインターネット回線を使えば不正アクセスを防げるのではないかと考える人もいるかもしれません。
専有型にすればリスクは低減させられる
個人向けインターネット回線を使うときには一般的には回線を共有しています。一つの回線を使用して複数の人が通信をおこなっている状況があるのです。
インターネットの不正アクセスの形としてよくあるのが、回線を通して他人のパソコンやスマートフォンなどに侵入する方法で、回線が共有されていると比較的アクセスしやすくなります。
法人向けインターネット回線の場合にも共有型のものがありますが、大半のサービスは専有型として提供されているのが現状です。共有型を選んでしまうと個人向けインターネット回線と同程度のリスクがあるのでメリットはあまりありません。
しかし、専有型にすれば他の人がその回線を使うことができず、社内でのみ使用される形になります。社内の端末を使って不正アクセスをしようと試みる人がいた場合にはこれでも防ぐことはできませんが、外部からの侵入がおこなわれるリスクは大幅に低減されるでしょう。
外部の人が使用できるパソコンなどを設置する場合には、それだけ別回線にしておくということも可能です。このように外部とは回線を別にして独立させられるという点でセキュリティー面が優れているのが専有型の法人向けインターネット回線の特徴と言えます。
固定IPを使うときには注意しよう
法人向けインターネット回線の専有型のものを使っていれば安全かというと必ずしもそうではありません。あくまでアクセスしにくくなるのでリスクが低減されるというだけだからです。ファイヤーウォールなどを準備して外部からの侵入を妨げる措置はおこなっておかないとあまり意味がありません。
特に固定IPアドレスを使用する場合には注意が必要で、グローバルIPアドレスを取得して使っていると外部からアクセスしやすくなります。固定IPアドレスを割り当てたパソコンやサーバーなどがあると、社外からでもインターネットを通じて簡単にアクセスできるのはメリットです。しかし、裏を返せばそのIPアドレスさえ知っていれば外部の人でもアクセスできてしまうのです。
特定のMACアドレスのパソコンやスマートフォンなどからしかアクセスできないようにするなどのセキュリティー対策をしておかないと危険だと理解しておきましょう。
法人向けインターネット回線を利用するときに固定IPアドレスを使いたいと申し出ると、どんな設定にしたいかを聞いてくれることもあります。導入時にセキュリティーレベルをできるだけ高くしておいてもらい、運用方法もマニュアル化してもらっておくと安心して使えるでしょう。
セキュリティーが高いかはケースバイケース
不正アクセスのリスクは法人向けインターネット回線を利用しても大幅に下げられるわけではないのが事実です。ただ、あくまで回線の特性から考えると少ししか違いがないだけであって、対策を立てようとすると法人向けインターネット回線を選んだほうが選択肢が増えます。
セキュリティー面を重視してインターネット回線を使いたいというのは企業ではよくあることで、その対策を標準サービスあるいはオプションサービスとして提供している業者も少なくありません。
例えば、24時間の監視体制を整えてくれていて、不正アクセスの懸念があったときに未然に対処してくれるサービスがあります。また、セキュリティーソフトを標準でインストールしてくれる仕組みになっていて、そのアップデートも適宜おこなってもらえるというのも典型的です。新たにエンジニアを雇ってセキュリティー対策を立てることもできますが、インターネット回線に詳しいプロに任せてしまえば安心でしょう。
ただ、どのくらい高いレベルのセキュリティー対策が可能かは業者によってかなり異なります。その点も加味してどの業者に依頼するのかを決める必要があるということは念頭に置いておきましょう。
法人向けインターネット回線では専有型の回線を導入することが可能です。複数の人が同じインターネット回線を使う共有型に比べると不正アクセスのリスクは低減されますが、リスクをゼロにすることはできません。特に固定IPアドレスを使用するときには万全のセキュリティー対策を立てないと不正アクセスを受けてしまう危険性があります。
ただ法人向けインターネット回線にするだけでは十分な対策にはならないですが、業者が提供しているセキュリティー面のサービスを利用すれば効果的な対処が可能です。業者によってどのくらい高いレベルのセキュリティー対策ができるかが異なっているので、契約先を探すときには十分に比較検討をしましょう。