
インターネットが急につながりにくくなったり、動画がカクカクしたりした経験はありませんか。その原因のひとつが「輻輳(ふくそう)」です。聞き慣れない言葉ですが、ネットワークが混雑してデータが流れにくくなる状態のことで、仕事や日常生活にも影響します。本記事では、輻輳が起きる仕組みから、具体的な対策まで順を追って説明します。
輻輳とはどんな状態か
輻輳とは、ネットワーク上のデータが処理しきれないほど集まり、通信が詰まった状態のことです。道路の渋滞に例えると理解しやすいでしょう。車がたくさん集まって道が詰まるように、ネットワーク回線にもデータが集中しすぎると流れが滞ります。
通信が混雑する仕組み
インターネット上のデータは「パケット」と呼ばれる小さな単位に分けられて送受信されています。このパケットが回線のデータ処理量の上限を超えると「バッファ」という一時的な保存場所に順番待ちとして溜まります。バッファが溢れると、溢れたパケットは破棄されてしまいます。これを「パケットロス」といい、データが届かなくなったり通信が途切れたりする原因になります。
パケットとバッファの関係
パケットロスが起きると、送信側は届かなかったデータを再送しようとします。しかし再送が繰り返されるとさらにネットワークへの負荷が増え、混雑がどんどんひどくなります。この悪循環は「輻輳崩壊」と呼ばれ、ネットワークがほぼ使えない状態に陥ることもあります。
輻輳が起きるおもな原因
輻輳はひとつの理由だけで起きるわけではなく、トラフィックの急増や帯域の不足、機器や接続方式の問題など複数の要因が重なって発生することが多いです。
トラフィックが急に増える場面
大型連休の年賀メッセージの一斉送信や、人気コンサートのチケット販売開始時など、短時間で大量のアクセスが集中する場面では輻輳が起きやすくなります。また、企業内では全社員のパソコンが同時にOSのアップデートを行うと、社内ネットワークに急激な負荷がかかり一時的な輻輳が発生することもあります。災害時に電話やネットへのアクセスが集中するのも同じ仕組みです。
帯域が足りなくなるケース
テレワークの普及やクラウドサービスの利用増加により、ネットワークを流れるデータ量は年々増え続けています。加えてスマートフォンやタブレット、AIスピーカー、ゲーム機といったネット対応機器が家庭内でも増え、常時接続の端末数が大幅に増加しました。
以前は10Mbpsの回線で十分だった環境でも、今は100Mbps以上の帯域が必要になるケースもあります。こうした変化についていけないまま古い契約の回線を使い続けると、慢性的な輻輳が発生するリスクが高まります。
機器や接続方式の問題
従来から使われているPPPoE方式の接続では「網終端装置(NTE)」と呼ばれる機器を経由してインターネットにつながります。この装置は数千〜1万人規模のユーザーが共有するため、トラフィックが集中すると処理が追いつかなくなり、輻輳の原因になりやすいです。また、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器の処理能力が不足していても、パケットが溜まりやすくなります。
輻輳が起きたときの影響と対策
輻輳が発生すると、通信速度の低下だけではなく、業務やサービスに深刻な影響を与えることがあります。状況に応じた対策を知っておくことが大切です。
遅延・パケットロス・輻輳崩壊
輻輳が発生すると、まずWebページの表示やクラウドサービスへの接続が遅くなります。悪化するとオンライン会議の音声や映像が途切れたり、業務システムにアクセスできなくなったりします。企業にとっては業務の停止につながるリスクもあり、顧客向けのサービスを運営している場合はユーザーの満足度にも直結します。前述の輻輳崩壊に陥ると、ネットワーク帯域のほとんどが再送パケットで埋まり、新しい通信がほぼできない深刻な状態になります。
企業・個人が取れる対策
輻輳への対策としては、まず接続方式の見直しが効果的です。PPPoE方式からIPoE方式に切り替えると、網終端装置を経由しない接続が可能になり、混雑の影響を受けにくくなります。次に、回線速度を上げることも有効です。契約プランの変更や回線事業者の乗り換えで帯域を広げられます。
さらに、複数ユーザーで帯域を共有する「共有型回線」から「専有型回線」に変更すると、ほかのユーザーの通信量に左右されない安定した環境を確保できます。また、ネットワーク管理ツールを使ってトラフィックの状況を常時把握しておくと、問題が起きたときにすばやく原因を特定できます。
まとめ
輻輳とは、ネットワークにデータが集中しすぎて通信が詰まる状態のことです。トラフィックの急増、帯域の不足、機器や接続方式の問題など、複数の原因が重なって発生します。通信速度の低下だけではなく、業務システムの停止やサービスの品質低下につながることもあり、企業にとっては無視できないリスクです。対策としては、IPoE方式への切り替えや回線速度の増速、専有型回線への移行などが挙げられます。普段からネットワークの利用状況を把握し、問題が起きる前に環境を見直しておくことが、安定した通信を保つための第一歩になります。

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