インターネットに接続するためには通信回線を用意しなければなりませんが、一般的に使われる家庭用の回線のほかに法人向けインターネット回線もあります。場合によっては家庭用でも問題なく使うことができますが、法人向けインターネット回線も状況によってはメリットが多いこともあります。
家庭向けと法人向けインターネット回線の違いは?
家庭向けにしても法人向けにしてもインターネットを利用できるようにするということは当然共通していることですが、違いとしては品質と料金があります。インターネット回線の仕組みは水道の仕組みと似ているといえます。水道の場合には本管と給水管がありさらにそれらが分岐して蛇口から水が使えるようになりますが、データ回線の場合にも同様に本線と引込線があり、末端部分で分岐数が多いほど品質は低下していきます。家庭向けの場合には、この分岐数が多く利用者が多くなるほど回線の質が低下してしまいます。
一方で法人向けインターネット回線の場合には、この分岐数を発生させないようにする、またはその数を少なくすることによって回線の品質を一定に保つことができます。家庭向けでは一つの回線を共有することによって料金が安くなっていますが、法人向けインターネット回線の場合には回線を共有していなかったり、その数を限定していたりするため、料金は家庭向けのものと比べれば高く設定されています。
使用する機器については家庭向けのものでも法人向けのものでも同じものが使えますから、元々家庭向けのものを使っていて法人回線に変更しても、またその逆で法人向けのものを使っていて家庭向けの回線に変更しても、機器は変更する必要がありません。一部レンタルで借りている場合などは変更する必要があるかもしれませんが、基本的にはインターネット回線の品質の違いといえます。
法人向けインターネット回線を導入する意味は
一般家庭向けのインターネット回線でも、極端に通信が不安定になったりするということはほとんどなく、中小零細企業などでそれほど通信品質を求めないような場合には家庭向けのもので代用しているところも多くありますが、業務に使うのであれば法人向けインターネット回線の方が安心できるでしょう。
とくにインターネット上のサーバーでサービスを受けるクラウドの場合には、インターネットに接続できていなければ業務そのものを行うことができなくなりますし、また多くの人が同時に接続する場合にもそれだけ通信容量が大きくなります。このようなことから業務に支障が出ないようにするという点で、法人向けインターネット回線を導入する意味があります。
ただ法人向けといっても種類がいくつかあり、回線そのものを占有してしまうものや共用していても帯域保証を行ってくれるものもありますし、一般家庭向けと同じように共有するタイプであっても、充分な通信容量と品質を確保できる仕組みとなっているものもあるなど選択肢は豊富です。
それとネットワークに接続する際に発行されるIPアドレスを固定化できるサービスもありますから、自社でサーバーを運営するという時にもメリットがあります。このようなことから業務の内容によっては法人向けのサービスを利用しなければ業務に影響を与えることもあり、それらを理解した上で導入することが大切です。
フリーランスでも法人向けインターネット回線を開通できる?
法人向けインターネット回線といっても実際のところは法人しか導入できないというものではなく、商品名も多くの場合にはビジネス向けとなっているものがほとんどです。このためフリーランスでも導入することは可能で、申し込みや手続きについても家庭向けのインターネット回線とほとんど変わりありません。
一方で、導入する時にネックとなってくるのがその料金の高さです。家庭向けの場合には月額5,000円程度で利用することが可能ですが、法人向けの場合には通信速度にもよりますが月額2万円程度は必要となりますし、本格的な回線となれば月額5万円以上というのも珍しくありませんし、初期費用も発生します。
ただ一般家庭向けではインターネットへの接続のみがサービスの中心ですが、法人向けの場合にはさまざまな保守サービスが付いてくるため、保守費用という点を考慮する必要があります。いずれにしても導入すること自体は誰でも行うことができるものですから、フリーランスであってもその費用を支払うことができれば導入することは可能です。
安定したインターネットを利用できるというのが大きなメリットですが、仕事の内容に対して求められる品質と料金であるかは業種によって異なってきますから、法人向けインターネット回線を導入する必要があるのか充分に検討して選ぶことがポイントになります。
法人向けといっても法人に固定しているわけではなく、あくまでもビジネス用途に使うものが法人向けインターネット回線です。このため法人登録していないフリーランスであっても、導入することは可能ですが品質と引き換えに料金が高いことに留意する必要があります。