法人向けインターネット回線の場合は契約者専用の回線が用意されているため、常時快適なネットワーク環境を利用することが可能ですが、それでも法人契約のユーザーのアクセスが殺到すれば速度が低下してしまいます。そんな問題を解決するために、帯域保障や帯域優先オプションが用意されているサービスと契約するのがおすすめです。
インターネットはベストエフォートのサービス
そもそもインターネットに接続するサービスプロバイダが提供している回線はベストエフォート型といわれており、必ずしもスペック通りの最大の速度が出るとは限らず利用規約にも免責事項として明記されていることがほとんどです。下り速度が1Gbpsとされているサービスの場合は、もしもすべての条件が整ったベストな状態であれば最大の速度が出ますが実際にはそうはいきません。
ネットワーク機器の帯域には仕様に基づいた限界があり、これを契約しているユーザー全体で分配して利用されます。たとえばそのサービスが最大100Gbpsの帯域を持っていたとして、100人のユーザーがアクセスすれば1ユーザーあたり1Gbpsの帯域を分配でき多くの業務を遂行するには充分な速度が出るはずです。しかし、そこへ200人のユーザーがアクセスすれば1ユーザーあたり半分の500Mbpsまでの速度しか出なくなってしまいます。
その他にも地域の光ファイバー網が集約されている収容局からサービスを利用している建物が離れていれば伝送距離が長くなるほど回線品質が低下したり、大規模なインターネット上のイベントがあり混雑すればさらに速度が低下してしまいます。
そうはいっても、法人向けインターネット回線を利用しているユーザーの業務を滞らせる訳には行かず、そんな時のために帯域保証や帯域優先オプションが提供されています。
快適な環境が確実に確保できる帯域保証
インターネット回線を利用できるサービスでは、通常は1つのネットワークシステムを複数のユーザーが帯域を分け合って利用する仕組みになっているためスペックの最大の速度が出続けることは事実上不可能ですが、法人向けインターネット回線の帯域保証では快適なネットワーク環境の提供が保証されます。他のユーザーが一切入り込む余地のない契約ユーザー専用の帯域が確保され、周囲の混雑を他所にまるで渋滞した道路を避けてスムーズにドライブするかのように速度が保たれます。
帯域保証のサービスでは何段階かのコースが提供されているケースもあり、スペックの最大の速度を保証するものや、運用に必要充分な一定の速度に区切ったものもあります。
帯域保証を利用すれば社内ネットワークから外部のインターネットへのアクセスが高速になるのはもちろんのこと、自社サーバーにホームページを開設して公開する場合でも、カタログのように大量の画像を表示させたり、アニメーションをする演出や動画などの動的コンテンツを再生させてもアクセスして来た顧客が快適に利用できれば好印象となり、商品やサービスの売り上げに大きな訴求力を持つことになります。
法人向けインターネット回線の帯域保証は、確保できる回線速度が高速になるほどコストはかかりますが、それ以上のさまざまなメリットをもたらすおすすめのサービスです。
低コストと快適さを両立する帯域優先
法人向けインターネット回線が提供している帯域優先サービスは一般家庭向けサービスと同様に1つのネットワークシステムの帯域を複数のユーザーで共有しつつも、混雑時には契約者に優先的に割り当てるサービスです。
1つのネットワークシステムを共有するといっても法人向けインターネット回線では一般家庭向けサービスよりも遥かに少ないユーザーと分け合うため、より快適なインターネット環境が保持されていますが、それでも複数のユーザーが大容量のダウンロードやアップロードをして帯域を食い潰すことがあれば一気に速度は低下してしまいます。
そこでクオリティ・オブ・サービス、通称QoSと呼ばれている仕組みを利用して帯域優先オプションに加入していないユーザーの帯域を絞り、加入しているユーザーには優先的に確保することで速度を保ちます。帯域保証と違い状況によっては最大の速度までは届きませんが、その法人向けインターネット回線を利用している全ユーザーの中ではベストな状態となります。
また、すべての利用目的に対して帯域優先を行うものや、メールの送受信など比較的負担の少ない作業の時には適用せず、高画質な動画の再生や配信など回線に負荷がかかる場合のみ適用するなどして効率性を高めたサービスもあります。帯域優先オプションは少しでもランニングコストを低減したい場合や、常時最高の速度は出なくても充分な利用目的であるが、万が一混雑した際には一定以上の速度を保ちたい場合に便利なサービスです。
法人向けインターネット回線は一般家庭向けのサービスよりも遥かに快適なネットワーク環境を実現するものの、ユーザーが一定以上のアクセスをすれば速度低下は免れません。そんな時でも高速なアクセスを継続したい場合には、帯域確保や帯域優先が便利です。ランニングコストにかけられる予算や利用目的を勘案して、ベストなサービスやオプションを選択したいところです。