最近では、オフィスに電話を設置せずに「クラウド電話」を利用するケースが増えています。クラウド電話はスマートフォンを活用し、会社の番号を持てるサービスです。では、法人向けのインターネット回線を開通した場合に電話とFAXはどうするべきでしょうか?さまざまなケースから最適な契約方法を解説します。
以前からビジネスフォンを設置してある場合はどうする?
以前からビジネスフォンとPBX(構内交換機)を設置してある場合は、法人向けインターネット回線でIPに変更できます。もしくは、新しくクラウド型PBXを新設するとこでIPを使用できます。どちらの場合もインターネット回線を導入したらIP化したほうがよいでしょう。
FAXは通常の回線として、IPが中断したときのためのバックアップとして残しておきます。既設のPBXがある場合はIPの設定だけで済みます。IPにするには、IP用ゲートウェイを設置するのですが、これも回線業者が用意する専用品の場合が多いです。レンタルか買い取りなのかは、会社によって異なります。
なお、ゲートウェイを設置すると、インターネット回線を音声として通話に使用でき、050の番号も03から発信できます。市外局番を03に設定すると相手側の信用も得られやすいため、法人向け回線業者で導入するのは有効です。また、会社の内線番号で外出している社員のスマートフォンを呼び出せることや、得先からの03発信を外出先の社員がスマートフォンで受けることもできます。
この仕組みはスマートフォンに専用のアプリをインストールすることで、光クラウドPBXにつながるようになり、そこで会社の外線と内線機能をスマートフォンでも使用できるというものです。このように、従来のPBXを仮想サーバーにしたものがクラウドPBXです。これによって、通常の回線とIPが常時使用可能となり、クラウドPBXに外からアクセスする社員も同じ環境で通話できるようになります。
IP電話のメリットはコスト面にあり
法人向けインターネット回線のIP電話が有利な理由は、通常の電話よりもコスト削減できるからです。クラウドPBXを使用した場合はさらに、社内のスペースも必要なくなり、メンテナンスや設定も不要になります。ちなみに、設定はパソコンからできます。
また、インターネット回線が導入されていれば、VOIPゲートウェイを設置することで使えますので、導入コストもかかりません。しかも、バックアップとして通常の回線もそのまま残して使えるので安全性も高いです。FAXは通常の回線で充分なので、そのまま残すことが可能です。また、通話品質も通常の回線と同等以上になっているため、ビジネスにもぴったりです。
もはや現代においては電話もIP化は必須ともいえるでしょう。現在は社内にPBXを設置している会社も、将来的にはサブスクリプション型などのクラウドPBXに乗り換えることになるところも多いかもしれません。その方がコストとメンテナンス費用の削減になります。
法人向けインターネット回線のIP電話のメリットとデメリット
IP電話のメリットは、先ほどもいった通り、コストの削減です。また、アプリを活用して外出先でも代表番号や内線番号が使用できることも利点といえます。
一方デメリットは、ネットワークの故障で通話が使用できなくなる可能性があることです。スマートフォンであれば通常の080などの番号は使用できますが、社内ではネットとIPは復旧するまで使用できません。
そのため、通常の回線で通話とFAXを使用することになります。しかし、現代におけるネットトラブルには、二重化技術で対応しており簡単には止まらないようになっているので、基本的には安心して使用できます。
その点は、一般回線よりも法人向けインターネット回線の方が安定しています。IP自体はかなり前から使用されて来た技術なので、現在では比較的安定したサービスとして定着しています。
今後、5Gが主流になった際には状況が変わるかもしれません。IoT化により環境が激変する可能性もあります。コロナ禍におけるテレワークの流行のように、一気に広がることも考えられます。将来的には、現在もある「クラウド型」が主流になるかもしれません。
これは、会社には固定回線は一切なく、すべてスマートフォンで代表番号から内線、通常のスマートフォン通話を使用するというものです。これによって、電話機や高価なPBXも不要になることになります。サービスの内容だけでなく、世の中の動きをよく注視した上で、導入を検討するべきでしょう。
今回は、法人向けインターネット回線を開通した際に電話やFAXを使う方法を説明してきました。IP化は今ではほとんどの会社で使用されていて、IP電話はコスト面においてもメリットがあります。IPが普及する中においては、電話やFAXは通常回線として残すことで、IPが中断した際にも使用できます。