インターネット回線には一般家庭用の回線と法人向けの回線があります。
サービスが提供される設備の違いにより期待できる通信速度が変わってくるので、最大通信速度だけでは判断できません。個人向けサービスの速度に不満があり切り替えを検討される際は、提供形態の違いにも注目して慎重に選定するようにしましょう。
設備の違いが速度に及ぼす影響とは?
インターネット回線を選ぶときには、提供されるサービスの設備を知ることも重要なポイントです。
基本的に個人向けサービスは、1本の光ファイバーを何本かに分岐させ近隣のユーザー同士で共有し合う「共有型」のサービスがほとんどです。このタイプの回線は、共有し合っているユーザーのうち誰かひとりでも大量のトラフィックを流すと他のユーザーの通信も遅延してしまう可能性があります。サービスを提供する側からすれば、1本の回線設備を敷設するだけで多くのユーザーを獲得できるため、1ユーザー当たりの料金を低く設定することができます。
一方、法人向けサービスには、光ファイバーを分岐させることなく1ユーザー毎に1本そのまま提供するタイプがあります。これを「専有型」と言い、通信経路を共有していないので他のユーザーのトラフィックの影響を受けず安定した通信が期待できます。もちろん1ユーザー毎に回線を引き込む必要があるため、利用料金は共有型のサービスに比べ高額になる傾向にあります。
増加する接続端末の数
快適なインターネット環境を構築するために、いくつの接続端末があるのかも確認してから最適な回線サービスを選ぶことをおすすめします。
最近は、デスクトップPCやノートPC、タブレット、スマホなど、一人で何台ものデバイスを持つようになり、同時に接続させるデバイスの数が非常に多くなってきました。当然、同時接続台数が増えるほどトラフィックは増大し通信の渋滞が起こりやすくなります。このような状況も影響して、個人向けの回線サービスでは十分な速度が得られない企業が増えてきているのです。必要に応じて回線のスペックアップを検討するようにしましょう。
回線工事には下見や現地調査など多くの工程が存在し、導入には大変な時間と労力がかかります。さらに、回線の切り替え時には通信できないタイミングが発生してしまうかもしれません。したがって、頻繁に回線を変更することはできませんし、「やっぱり前の回線の方がよかった」と戻すことも簡単にはできません。
このようなことからも、回線の変更は十分に情報収集し慎重に比較検討する必要があります。快適なインターネット環境は生産性アップやスタッフのイライラ解消にも効果を発揮します。安易に安いサービスに飛びつかず最適なインターネット回線を探してみてください。
固定IPアドレスを利用することができます
IPアドレスはインターネット環境に繋がる機器が割り当てられている識別番号で、インターネット上の住所のようなものです。
インターネットでは通信機器を使っていろいろなやりとりが行われていますが、情報の送り手側と受け手側が明確ではないとデータの送受信を行うことができません。
どの機器とどの機器が繋がっているのかを明確にして、インターネットにおける情報のやりとりが行えるようにするためにIPアドレスは利用されているのです。
通常、そのIPアドレスはインターネットに接続し直す度に別のものが割り当てられるため、その都度変わってしまいます。しかしもしもWebサイトをインターネット上に公開しているような場合にそのサイトの住所がコロコロ変わってしまえば、利用者はそのサイトにたどり着くことができません。このような場合に、固定IPアドレスを利用することでサイトの住所をいつも同じにしておくことができるのです。したがって、サービスサイトやコーポレートサイトをインターネットに公開することの多い法人では、サイトの住所が変わってしまわないように固定IPアドレスという特別なIPアドレスを取得することが多いのです。
また法人では、本社と支店などのように離れたエリア同士で安全に通信を行いたい場合、VPNと呼ばれるセキュリティの高い特別なネットワークを構築することがあります。外部からの不正なアクセスを遮断するためにファイアウォールを設置することもあるでしょう。このVPNやファイアウォールの設定には固定IPアドレスが必要になるため、セキュリティ対策を行う上でも法人では固定IPアドレスを利用することが多いのです。