インターネットを利用した会議や取引を快適に行うため、法人向けインターネット回線の契約や見直しを検討している法人は多いでしょう。法人向けインターネット回線のサービス選びの中でも、重視すべき点は回線の通信速度です。自社で契約した法人向けインターネット回線において回線速度を具体的に調べる方法を解説していきます。
理論上の速度と実際の速度は異なる
一口に法人向けインターネット回線といってもケーブルインターネットやADSL、光回線やモバイルルーターなどさまざまなサービスがありますが、ビジネス用で最も通信速度が安定していておすすめなのは光回線です。サービスごとに通信方式が異なるのですが、光回線は光ファイバーケーブルを利用して大量の情報のやり取りができるため、他の通信手段と比較して通信速度が高速であるうえに通信が安定しているメリットがあります。
法人向けインターネット回線で光回線を契約する場合、最大通信速度を確認する事業主は多いでしょうし、多くのプロバイダでは最大通信速度は1Gbps前後となっているため、これだけの回線速度があればほとんどの業務は問題なく遂行できます。
しかし、実際に1Gbpsの速度が出るのかというと、そうでもなく、実測値は数十Mbps程度となっていることが一般的です。各プロバイダはベストエフォート方式と呼ばれる公平な通信サービスの提供を行っていて、通信を行う時間帯によって通信速度に差が生じます。
専有型のサービスであれば通信速度の品質が保証されているのでベストエフォート方式より高速で安定した通信ができるのですが、それでも実測値は百数十Mbps程度となっています。また接続方法がLANケーブルなのかWi-Fiなのかということも、実測値に大きく関係してきます。
法人向けインターネット回線の速度の計測方法
実際に自社で契約している法人向けインターネット回線の通信速度を計測する方法ですが、最も簡単と思われる方法は、専用のアプリやウェブサービスを利用することです。ボタンをワンクリックあるいはワンタップするだけで、自動的に接続しているインターネットの通信速度を計測してくれるWEBサービスやアプリなどは数多く配信されています。
どのサービスも広告が表示される代わりに無料で利用できるうえ、直感的な操作で計測ができるので機械に詳しくない人でも簡単に使いこなすことができます。パソコンやタブレットを社内のインターネット回線に接続した後、通信速度を計測してくれるWEBサイトを表示、あるいはアプリを起動して、「スタート」と書かれたボタンなどを選択することで通信速度の計測が始まります。
下り速度に加えて上りの回線速度の計測も可能となっていますし、計測にかかる時間も数十秒程度なので手間も時間もかかりません。社内でネット接続をしていて、通信速度が遅いと感じた際には実際にアプリやウェブサービスを利用して回線速度の計測を行い、スクリーンショット等を利用して計測結果と計測を行った日時などを記録しておけば速度が低下しやすい時間帯を統計的に把握できますし、契約当初と比較して著しく速度が低下した場合には、乗り換えを検討する際の重要な判断材料とできます。
通信速度を高速化するためのポイント
法人向けインターネット回線を契約した後、回線速度を測定したところ思うように速度が出ないということは決して珍しくありません。期待していた速度が出ていないが、契約の縛りなどの関係ですぐに他社に乗り換えができない場合の対処方法ですが、プランの見直しや接続する機器の見直しなどが挙げられます。
もしもベストエフォート方式で光回線を契約していて、契約しているプロバイダで専有型のプランの取り扱いもある場合、ベストエフォート方式から専有型へ変更することで通信速度が劇的に安定します。またWi-Fi接続している場合には、LANケーブルを利用した通信方式に変更をしたり、ルーターを最新モデルのWi-Fiルーターに変えたりといったことで速度の高速化が見込めます。
古いモデルのWi-Fiルーターを使っている場合、ルーターの最大速度が50Mbps程度となっているケースも珍しくありません。せっかく専有型の光回線を契約していても、Wi-Fiルーターがギガビット通信に対応していなければ宝の持ち腐れです。通信速度は回線だけでなく、使用する機器の性能も大きく関係しているからです。
また業務で使用するパソコンやタブレットなども、古いモデルを使い続けている場合にはギガビット高速通信に対応できていないケースが考えられるので、できるだけ最新のハイスペックモデルへ買い換えることで、より効率的な業務遂行が期待できます。
各サービスで契約前に公表されているインターネット回線の通信速度はあくまでも理論上の最高速度であるため、実際に法人向けインターネット回線を契約した後には自社で実測値を計測することが大切です。なお速度は通信機器を変えることによって高速化も可能です。