インターネット回線は個人向けと法人向けがあります。
法人向けインターネット回線は、あまりテレビCMなどは行われていないため知らないという人もいるかもしれません。
しかし、これから事業を大きくしていく上で非常に重要な通信環境に関することなので、個人向けサービスと法人向けサービスの違いを知っておきましょう。
法人向けインターネット回線には通信制限がない?
法人向けインターネット回線と個人向けインターネット回線の最も大きな違いとして挙げられるのが、法人向けインターネット回線には通信制限がないものがあるということです。
個人向けのインターネット回線の場合には、契約しているプロバイダにもよりますが、一ヶ月あたりの通信データ量が一定以上となると通信速度が制限されてしまうことがあります。
個人的にインターネットを利用している分には、少しの間我慢しておけば、それほど大きな問題になることはありませんが、ビジネスをしていく上で通信速度が制限されるという事は非常に大きな問題となります。
そのため、法人向けのインターネット回線については、ビジネスに支障が出てしまわないように速度制限などは課さないようになっているものがあるのです。
それでは、通信量が大幅に増大しこれまでの設備では処理しきれなくなってしまったときにはどうなってしまうのでしょうか。
まず、個人向けサービスの通信事業者は多くのユーザーがなるべく平等に通信できるようにするために、極端に通信量の多いユーザーの利用を制限して対処します。それに対し、法人向けサービスの通信事業者は、整備増強で対処してくれます。増えた分のトラフィックもさばききれるように設備をパワーアップさせるのです。個人向けサービスと法人向けサービスの利用料金に差があるのは、このような設備投資のための資金が関係しています。
個人向けも法人向けも同じ「1Gbps」に見えるけど?
個人向けサービスでも法人向けサービスでも、最近の通信速度のスタンダードは1Gbpsです。ただしこの1Gbpsというのは実際に出る速度ではありません。ほとんどのサービスは「ベストエフォート型」と言って、「できるだけ努力しますが、最大速度が出るとは限りません」というものです。スペックの速度の欄にはきちんと「最大」と書かれていて、これは理想的な条件下での理論上の数値であるということを意味しています。実際に出る速度は、数十Mbps~数百Mbpsで、これを実効速度と言います。
この実効速度はまわりの通信環境など様々な条件によって大きく変動します。そのため同じ料金を支払って同じサービスを利用していてもかなり差が出てしまうため、たまたま速度が遅い環境になってしまったユーザーは不公平感を感じてしまうことでしょう。だからこそ通信事業者は「ベストエフォート」という表現をして、実際の速度を明示しないようにしているのです。
以上の理由から、同じ「最大1Gbpsベストエフォート」の回線であっても、設備増強が可能な法人向けサービスの方が個人向けサービスに比べて、実効速度としては高速になることが推測できます。
ベストエフォートである以上、法人向けサービスの方が確実に速いと断言することはできないですが。
バックボーンにも注目しよう
NTTのフレッツ回線を利用してインターネット回線を利用するためには、プロバイダ契約をする必要があります。
インターネット回線とプロバイダは別々に契約をする必要がありますが、プロバイダの品質も速度に影響しています。
プロバイダが管理する設備でインターネット網に接続するための回線のことを「バックボーン」と呼びますが、これは大手プロバイダであるほど安定しているという傾向があります。
バックボーンが不安定だと、アクセス数が増えたときに通信網が混雑してしまい、高速な通信を維持することが難しくなります。
つまり、インターネット通信の速度は、回線はもちろんですが、バックボーンによっても左右されるという事です。
このとき、回線とプロバイダの一体型サービスになっている法人向け回線であれば、バックボーンも同じ業者が管理している場合が多いです。すなわち回線スペックのうち最大速度の数字だけでなくバックボーンの大きさも確認して、高速で安定した通信が可能かどうかを見極める必要があります。
最大速度の大きさはもちろん重要なポイントですが、瞬間的に高速な通信ができても途切れたり遅くなったりすることが頻繁に起こってしまうのは問題です。高速な通信を持続的に行うためにバックボーンの大きさも忘れずにチェックするようにしましょう。