どんな企業においても社内インターネット環境を整える必要はありますが、どれくらいの品質のものが必要でそれにどれくらいの費用をかけられるのかは、その会社の規模や社員数、自社サイトの運営の有無など、状況によって異なってきます。
法人向けインターネット回線サービスやそれを提供している業者はいくつかありますが、選び方にはポイントがあります。
実際にサービスを選定する場合の注意点についてご紹介しましょう。
インターネット回線サービスの種類は3つ
それほど大きなデータをやりとりするわけではない会社では、個人向けサービスを利用しているというケースも多いでしょう。
個人向けのインターネット回線といえば、ほとんどの場合NTTのフレッツになります。フレッツ回線を利用する場合、NTTとだけ契約してもインターネットに接続はできず、プロバイダとも契約しなければいけません。これは、自宅(オフィス)からインターネットに向かう経路の途中まではNTTの設備を通り、さらに先へ向かうにはプロバイダ業者の設備を通る必要があるからです。
一方、法人向けのインターネット回線には、両方を同じ業者から提供されることが多いです。回線とプロバイダをまとめて一つの業者から提供される形態のサービスを一体型サービスと呼んでいて、利用料金の支払いやトラブル発生時の問い合わせの窓口が一つになるので、管理が楽になるというメリットがあります。さらに、設備を一貫して管理していれば、トラフィックの状況をみて必要に応じて設備増強を行うことで、通信の渋滞を事前に回避することもできます。
また、最近増えてきているサービスに「光コラボレーションモデル」(光コラボ)というものがあります。「ドコモ光」とか「ソフトバンク光」などがそうです。これらのサービスは、もともとプロバイダ事業を行っていた業者などがNTTからフレッツ回線の卸売りを受けて、プロバイダとセットにしてユーザーへ販売するというものです。ユーザーはNTTとの契約は不要で、ドコモやソフトバンクなど1社との契約で済むため、管理の手間が省けるというメリットがあります。しかし、請求や契約関連の手続きはまとめられますが、設備自体は別々の管理なので通信断などのトラブル発生時に技術的な対応を1社に求めることはできません。
最近よく聞く「光コラボ」って?
上記の3つのパターンのうち、もっともコストを抑えられるのは、光コラボです。
インターネット回線サービスの市場は、これまでNTTがほとんど独占していたため、価格競争があまり生まれていませんでしたが、光コラボによって多くの業者が参入し、価格競争が激化しました。その結果、各社独自の特典やオプションとのセット割を利用することでお得に利用できるようになったのです。
ただ、この光コラボの中身はあくまでフレッツなので、そのサービス品質は個人向けということになります。現在、フレッツ回線をNTTとプロバイダの2社との契約で利用していて、通信速度になんの問題もないというのであれば、光コラボは十分に検討の余地があると言えるでしょう。
反対に、現在のフレッツ回線の品質に不満があり、法人向けの高品質なサービスを探しているという方にはおすすめできません。いまや業務に欠かせない存在となったインターネット。日々、通信速度が遅いことが原因でイライラしたり効率が落ちたりしている会社にとっては、高速なインターネット環境は多少のコストをかけてもメリットは大きいと思います。
補償内容などのサポート制度を確認しよう
インターネット回線サービスにはSLAという制度を採用しているものがあり、これは「Service Level Agreement」のことで「サービス品質保証制度」と訳します。
一定の通信品質を保証する制度のことで、稼働率や平均遅延時間、利用不能時間といった様々な項目において、業者があらかじめ規定している基準より遅れてしまったり下回ったりした場合に料金の減額や返金が行われる仕組みです。
回線のトラブルはできるだけ避けたいものですが、その可能性をゼロにはできません。そんなときSLAが付いていれば最低限の品質は保たれるので安心して利用することができます。
ただし、管理設備以外の不具合、火災や地震による停電などの災害時の障害には対応していない場合が多く、返金対象になる範囲や補償内容、条件などはサービスによって異なるため、事前に確認しておく必要があります。
利用環境によって最適なサービスはそれぞれ異なるので、しっかりと調べてから契約することが大切です。
サービス毎の強みや弱みなどを調べてから判断することが重要であり、ネット回線トラブルがビジネスの妨げにできるだけ繋がらないよう、サポートや補償がどれくらいあるかなど配慮すべきポイントがあります。
ビジネスを円滑に進めるため、現在ではインターネットは不可欠なインフラと言えます。安価なサービスに飛びつくのではなく、きちんとサービススペックや提供条件を調べて理解した上で契約すると良いでしょう