一口に法人向けインターネット回線といっても、契約するプランによって速度は変わります。ネット回線の使い方はさまざまであり、推奨される速度の目安は異なります。日常的にオフィスでどういった作業を行っているか、改めて確認してみましょう。速度の数値によって快適性や費用対効果が変わるので利用目的を明確化した上での契約が大事です。
目次
インターネット回線速度の単位と基本的な考え方
インターネットの回線速度は、主に「bps(ビーピーエス)」という単位で表され、1秒間にどれだけのデータを転送できるかを示します。よく目にする「Mbps」は「1秒間に100万ビットの通信ができる」ことを意味し、数値が大きいほど速い通信が可能です。
また、インターネットの速度には「上り(アップロード)」と「下り(ダウンロード)」があり、一般的に動画視聴やサイト閲覧などの操作では下り速度が重要視されます。一方、Zoomなどのビデオ会議やファイル送信では上り速度も重要になります。
法人における用途別の速度目安
法人でのインターネット利用にはさまざまな用途があり、それぞれに適した速度の目安があります。
メールやチャットの送受信
軽量なテキストデータが中心となるため、上下ともに1Mbps程度あれば問題ありません。
インターネット閲覧やSNS利用
画像の読み込みが発生するため、1〜10Mbps程度の速度が必要です。
YouTubeなどの動画視聴
720p画質なら3〜5Mbps、1080pなら5〜10Mbps、4Kなら25Mbps以上が推奨されます。
テレワークやWeb会議(Zoomなど)
会議の安定性を確保するためには、上り下りともに10Mbps以上、可能であれば30Mbps以上あると快適です。
クラウドストレージ利用や大容量ファイル送受信
高画質な画像や動画、設計データなどを扱う業務では、上下ともに100Mbps以上を確保した方がよいでしょう。
インターネット回線の速度測定方法
通信速度を測定するときは、専用のサイトを利用するのがもっとも簡単です。専用サイトですが、グーグルなどの検索で「回線速度」と打ち込むだけでOKです。検索結果が示されたら、よさそうなサイトを選びましょう。もちろん普段から利用している速度測定用のサイトがあるなら、最初からそちらを利用しても構いません。
実測値と理論値の違い
多くのサイトでは「最大1Gbps」と表記されていますが、こちらの数値はあくまでもっとも速いときの理論値であり、実際の速度とは異なります。光回線にはメールや動画・画像を送るときの上りと、ホームページを読み込んだり、ソフトをダウンロードしたりするときに使用される下りがあり、下りと上りの実測値での平均速度を確認しておくことが重要です。
どちらの回線も30Mbpsを超えれば問題なく使用できるとされているものの、下りの平均速度は180~200Mbps、上りの平均速度は150~170Mbpsとなっています。数値が高いほど早くなるため、実測値での下りの平均速度が180~200Mbps、上りの平均速度は150~170Mbpsを超えれば、速い光回線だと判断できるでしょう。
法人回線の平均値と実態
ビジネス用途においても、共有回線であれば速度低下の影響を受けやすくなります。そのため、法人契約では「専有型」や「IPv6通信」といった混雑の影響を受けにくい構成を選ぶことが多くなっています。
回線の種類と選び方のポイント
法人で利用される主なインターネット回線には、次のような種類があります。
光回線(フレッツ光、NURO光など)
光回線とは、光ファイバーケーブルを利用してデータの送受信を行う回線のことです。光回線を利用するためには、プロバイダーと契約しなければなりません。光回線はケーブルテレビやモバイルルーターより通信速度が速いという特徴があります。また、電磁波の影響を受けないため、安定した状態でインターネットを利用できます。
高速・安定性・コストのバランスに優れ、法人利用の中心的存在です。共有型より専有型の方が速度の安定性が高くなります。
モバイル回線(4G/5G)
5Gとは「5thGeneration」の略称で「第5世代通信システム」のことです。通信システムには第1世代~第4世代もあり、4Gの次世代規格のため5Gと呼ばれています。5Gの最大の特徴は、高速大容量通信です。4Gの通信速度は100Mbps~1Gbpsですが、5Gの最大通信速度は10Gbpsで、将来的には20Gbpsになるとされています。
一時的な設置やサテライトオフィスなどで活用されますが、通信制限や安定性に課題があるため、常時利用には向いていません。
法人専用回線(専用線・VPNなど)
通信の安定性・セキュリティが必要な企業では、コストが高くても専用線を選ぶケースがあります。
プロバイダ選定と回線混雑
プロバイダの設備や契約者数の影響で混雑が起こることがあります。業務に支障をきたす場合は、IPoE対応や法人向けプランに切り替えるのが望ましいです。
回線速度が遅いときの原因と対策
回線速度が遅いと感じたときは、以下のような要因を確認し、改善を検討しましょう。
利用している時間帯の混雑
特に夜間や昼休みなどは利用者が集中するため、共有回線では速度が低下することがあります。
Wi-Fiルーターのスペックや配置
古いルーターを使っていたり、障害物の多い場所に設置していたりすると、速度が大幅に落ちることがあります。
有線LAN接続の検討
業務で安定した通信が必要な場合、有線接続の方が高速かつ安定して利用できます。
中継機・メッシュWi-Fiの導入
広いオフィスや階層のある構造の場合、中継機やメッシュWi-Fiを用いることで電波の死角を解消できます。
回線の見直し
既存の回線では十分な速度が確保できない場合、法人専用回線や上位プランへの変更を検討する価値があります。
法人向けインターネット回線の見直しポイント
速度に不満がある場合、ただ機器を交換するだけでなく、契約内容の見直しや提供会社の乗り換えも視野に入れるべきです。以下のような点をチェックしましょう。
・現在の契約プランが実測値としてどの程度出ているか
・複数端末・複数業務において速度が足りているか
・契約中のプロバイダがIPv6通信に対応しているか
・専用回線を導入するほどのニーズがあるか
必要に応じて、無料診断や法人向け回線の比較サービスを活用すると、最適な選択肢が見えてくるでしょう。
まとめ
法人向けインターネット回線は、単に「速いかどうか」だけでなく、業務の性質やオフィス環境に応じて適切な速度を確保することが重要です。用途別に必要な回線速度を把握し、測定・改善・見直しのステップを踏むことで、業務効率を最大限に引き出す通信環境を構築できます。
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引用元:https://www.gate02.ne.jp