個人向けと同様、法人向けのインターネット回線も複数のプロバイダがサービスを提供しており、通信速度などの利用環境や利用料金などがそれぞれ異なります。
当然、使い勝手やコスト面を考慮して回線を変更するケースも生じます。
ここでは、法人向けインターネット回線を乗り換える際の方法や手順、注意すべき事項などについて紹介します。
基本的な手順は個人向け回線と同じ
法人向けインターネット回線の乗り換えと言っても、実は個人向け回線の乗り換えと手順自体は大きく異なるところはありません。
新しいプロバイダに申込みを行い、回線工事を経て利用できるようになったら従前のプロバイダを解約するというのが基本的な流れとなります。
申込み方法はプロバイダごとに異なりますが、大半の事業者はウェブ・電話・FAX・郵便のうちのいずれかの方法で申し込めるようになっています。
サービス内容などについて細かく確認しながら申し込むかどうかを決めるのであれば電話が便利ですが、ウェブチャット機能を活用してテキストで質疑応答しながら手続きが進められるような体制を整えている事業者も少なくありません。
利用申込みを行うと、プロバイダからは法人会員証や契約関係書類などが届きます。
それと並行して、回線工事に関する連絡があります。
日程調整を行いつつ、必要書類の記入・捺印や返送を終えたら、あとは工事を待ちます。
工事日当日は立会いを必要とするのが一般的ですが、マンションや雑居ビルなどの場合は立会いが不要となるケースもあります。
工事終了後は手渡しまたは郵送で届けられた周辺機器をパソコンと接続して利用開始となります。
一方、旧プロバイダの解約についてですが、こちらも方法はプロバイダごとに違います。
各事業者のホームページなどをチェックして指定された手順に従うこととなります。
メールアドレスの扱いには注意が必要
法人向けインターネット回線を乗り換える場合、一連の契約・解約事務を済ませた後にもさまざまな手続きが必要になることがあります。
その1つが、メールアドレスの取り扱いです。
業務用のメールアドレスにフリーメールを利用している場合や、専門のビジネスメール業者から取得したアドレスを使用しており、プロバイダの変更後も引き続き同じアドレスを使用するのであれば、特別な手続きは必要ありません。
しかし、旧プロバイダから取得したアドレスを使用していたのであれば、解約後はそのアドレスが使えなくなるため、新たに新プロバイダからアドレスを取得し、取引先などにメールアドレス変更の通知を行う必要があります。
ただし、この時旧プロバイダから独自ドメインのアドレスを取得できるサービスの提供を受けており、新プロバイダにおいても同じドメインを使用できるのであれば、アドレスを変更しなくて済みます。
つまり、従前のアドレスを引き続き使用したいのであれば、ドメインの引継ぎができるかどうかも新しいプロバイダを選ぶ際のポイントの1つになるというわけです。
また、旧プロバイダを解約せず、メールサービスだけを継続使用できるコースに変更するという方法もあります。
この場合は、一定の月額料金を旧プロバイダに払い続ける必要がありますが、メールアドレスは従前のものを使い続けることができます。
解約金が発生しないかどうか事前に確認を
最後に、法人向けインターネット回線を乗り換えるに際しての注意事項をいくつか挙げておきます。
まずは、違約金についてです。
個人向け回線と同様、たいていの法人向け回線にも最低利用期間というものが設けられており、その期間に満たないうちに解約すると違約金の支払いを求められます。
また、2年・3年といった契約期間が設けられていて満了のたびに自動更新となる場合は、更新月(及びその前後1~2か月)以外の月に解約すると、やはり違約金の支払いを求められることがあるので注意が必要です。
次に、法人としてホームページを開設している場合の注意点です。
この場合もメールアドレスと同様、旧プロバイダを解約した場合はサービスを受けられなくなるため、ホームページの引越しすなわちURLの変更が必要となります。
ただし、独自に取得したURLであれば、やはりメールアドレスと同じように継続して使える場合があります。
また、支払い方法についても注意が必要となります。
個人向けの場合はおおむねクレジットカード払いのみとなりますが、法人向けインターネット回線の利用料金の支払いは法人クレジットカードや口座引き落とし、銀行振り込みなど複数の方法から選択できるのが一般的です。
自社にとって最も便利な方法、あるいは経理処理がしやすい方法が用意されているかどうかを事前にチェックしたうえでプロバイダを選び、契約手続きを行うことが重要です。
法人向けインターネット回線の変更は、より安く、より快適な通信環境を求めて行われるのが一般的です。
ただしメールアドレスの使用やホームページの運営などに関して手間がかかることもあるので、プロバイダ選びの際にはその点についても十分な検討が必要となります。