スマホやパソコンでインターネットを利用する際に欠かせない存在が「アクセスポイント」です。自宅やオフィス、カフェなどでWi-Fiに接続するために必要なもので、快適な通信環境を支える重要な役割を果たしています。この記事では、アクセスポイントの基本や仕組みについてわかりやすく解説します。
「アクセスポイント」とは
アクセスポイントとは、パソコンやタブレットなどのデバイスがWi-Fi接続できるようにする機器のことです。ルータと接続することで電波を受信し、デバイスに無線で飛ばす基地局のような役割を担っています。
単体では使用できず、ルータとセットで使うことでWi-Fi環境を構築します。ここでは、ルータや無線LANルータとの違い、家庭用と法人用との違いを解説します。
ルータや無線LANルータとの違い
アクセスポイントと混同されがちな機器に「ルータ」や「無線LANルータ」があります。ルータは、複数のデバイスをインターネットに接続できるようにする機器であり、Wi-Fiの電波を飛ばす機能はありません。
一方、無線LANルータは、ルータ機能とアクセスポイント機能を兼ね備えており、1台でWi-Fi接続が可能です。家庭用には無線LANルータが多く用いられますが、業務用ではルータとアクセスポイントを別々に設置するのが一般的です。
家庭用との違い
アクセスポイントには「家庭用」と「法人向け」の2種類があり、それぞれに特徴があります。法人向けアクセスポイントは次の点で家庭用と異なります。
まず、同時接続台数に差がある点です。家庭用は10~20台程度までの接続が可能ですが、法人向けは最大100~500台程度と、多くのデバイスを同時に接続できます。社員が多数のデバイスを使用するオフィスでは、法人向けのアクセスポイントが必要不可欠です。
次に、セキュリティ機能の違いがあります。法人向けは高度なセキュリティ機能を搭載しており、顧客情報や社内データを扱う企業にとって安全なネットワーク環境を提供します。万が一の情報漏洩を防ぐためにも、ビジネスシーンではセキュリティ性の高いアクセスポイントを導入しましょう。
さらに、保証期間も異なります。家庭用が1~3年であるのに対し、法人向けは3~5年と長期保証が一般的です。業務中の機器不良はビジネスに大きな影響を及ぼすため、長期間のサポートが受けられる法人向け機器は安心感があります。
法人オフィスにはアクセスポイントが必要?
法人オフィスにWi-Fi環境を構築する際、アクセスポイントの導入は非常に有効な手段です。アクセスポイントとは、既存のネットワークと接続して無線LANエリアを拡張する機器で、Wi-Fiの電波をより広範囲に届ける役割を担います。
とくに複数のフロアに分かれたオフィスや、階層の異なるレイアウト、同時接続するデバイスが多い職場では、ルータ単体では電波が届きにくく、通信が不安定になるケースも少なくありません。
アクセスポイントの導入により、広いエリアでも安定した通信環境を確保でき、複数端末での同時接続もスムーズに行えます。また、すでに光回線を導入している場合でも、Wi-Fiの速度や安定性に課題があるなら、アクセスポイントを追加することで改善が期待できます。
一方で、ワンフロアの小規模オフィスや、ルータ1台で十分にカバーできている環境では、アクセスポイントは不要な場合もあります。オフィスの規模や利用状況に応じて、導入の必要性を検討することが重要です。
法人向けのアクセスポイントを選ぶときの注意点
法人向けのアクセスポイントを導入する際は、快適で安全なインターネット環境を構築するために、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。以下に、選定時の注意点を4つご紹介します。
通信規格と速度
通信規格とは、異なる機器間でデータ通信を行うための技術基準のことです。おもな通信規格にはWi-Fi4(IEEE802.11n)、Wi-Fi5(IEEE802.11ac)、Wi-Fi6(IEEE802.11ax)、Wi-Fi7(IEEE802.11be)があり、それぞれ通信速度や利用できる周波数帯が異なります。
最新規格にいくほど通信速度は向上し、安定性や同時接続性能も高まります。とくにWi-Fi6は2.4GHzと5GHzの両方の周波数に対応し、Wi-Fi5より約1.4倍速い通信が可能です。
社内外とのオンライン会議や大容量ファイルの送受信が頻繁なビジネス用途では、Wi-Fi6以上に対応した製品を選ぶと安心です。
同時接続可能な台数
パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットなど複数のデバイスが日常的に使われるオフィスでは、デバイス数に余裕をもって対応できるアクセスポイントを選ぶことが重要です。単純に従業員数ではなく、接続するデバイスの総数を把握し、将来的な増加も見込んで選定しましょう。
保守サービスの有無
故障時に迅速なサポートを受けられる保守体制が整っていれば、万が一のトラブルにもスムーズに対応可能です。電話サポートや現地訪問対応など、サポート体制の内容もあわせて確認しておくと安心です。
セキュリティ機能の充実度
法人利用においては情報漏洩のリスクを最小限に抑えることが求められます。暗号化方式にはWPA、WPA2、WPA3があり、なかでもWPA3は軍事レベルの高いセキュリティを誇ります。
とくに個人情報や顧客情報を取り扱う企業では、WPA3対応のアクセスポイントの導入を検討すべきでしょう。
まとめ
アクセスポイントは利用シーンや接続台数、セキュリティ面などによって選ぶべき製品が異なります。とくにオフィスや施設など多人数で利用する環境では、法人向けのアクセスポイントを導入することで、安定かつ安全な通信環境を整えることができます。通信規格や保守サービスの有無などのポイントを総合的に判断し、自社の利用状況に最適なアクセスポイントを選ぶことが、安定した業務運営につながるでしょう。