皆さんの会社ではインターネットに関連する機器をどのようにしていますか?自社でサーバーやソフトウェアなどの機器をそろえる方式をオンプレミス、自社に設備を置かず、インターネットを介してサービスを利用する方式をクラウドといいます。本記事ではオンプレミスやクラウドの良いところや注意点、ハイブリッドクラウドの内容を解説します。
オンプレミスのメリット・デメリット
オンプレミス(on-premise)とは、インターネットの接続やデータを管理するための施設を自社内で整備し運用する仕組みのことです。
もともと、どの企業もデータを管理するための専門の部署を設け、各社で独自に管理・運営してきました。後ほど紹介するクラウドが登場しても、自社でシステムを構築していた企業はオンプレミス方式を継続していました。
現在でも機密性を要する官公庁や金融機関などで利用していますが、その割合は減少傾向にあります。
メリット
オンプレミスは自社内でシステム・インフラ構築を行っているため、自社の予定に合わせてカスタマイズしやすいというメリットがあります。どのOSやパソコン、ソフトウェアを自由に選択して組み合わせることもできます。システムを改変したり、既存のシステムと組み合わせた仕組みを構築したりすることも可能です。
また、メンテナンス日を自社の都合で決められるのもオンプレミスの良いところです。自社の設備ですので、自社の業務状況を最優先に予定が組めるからです。外部からのアクセスを制限しやすいため、セキュリティ面でも優れています。機密情報のバックアップやシステムの保護を自社内でできるので、大事な情報を厳重に守ることができます。
デメリット
オンプレミス最大のデメリットは初期投資の大きさです。各種機器の調達や環境整備、継続して管理するコストの全てを運用側が負担しなければなりません。それらをすべて含めると、年間に数百万円から数千万円のコストとなります。
システムを1から構築するため、稼働開始まで時間がかかってしまうというデメリットも発生します。要件定義・テスト運用・実践投入まで試行錯誤を繰り返さなければならないからです。
こうして苦労して立ち上げても、トラブルが発生したら自社で対応しなければなりません。金銭的コスト・人的コスト・対応するための時間的コストなどの負担が重くなることは懸念点と言えます。
クラウドのメリット・デメリット
クラウドとはクラウド・コンピューティングの略称です。オンプレミスのように自社で設備を要するのではなく、インターネット上のサーバーにアクセスして必要なサービスを利用します。
初期投資を大きく抑えられることから、個人・企業を問わずクラウドサービスの導入が広がっています。「令和4年通信利用動向調査」によれば、令和4年のクラウドサービス利用は72.2%に及んでいます。このように、クラウドサービスの導入が進んでいるのです。
メリット
クラウドのメリットはコストを大幅に下げられることです。システムを構築する必要がなく、サーバーの購入やレンタルも不要ですので初期投資を大幅にカットできるでしょう。専門のスタッフを採用する必要もないため、運用コストも下げられます。また、クラウドサービス側がサーバーメンテナンスを実施するため、その分のコストが不要となります。
デメリット
デメリットはカスタマイズしにくいことや、サービスを提供する会社への依存が高まることです。クラウドサービスの利用者は自分が利用しやすいプランを選択しますが、決められた範囲・内容のものが使えるだけですので、会社の実情に合わせたカスタマイズは困難です。
また、一つのサービスに依存しすぎていると、そのサービスが終了した時に事業に大きな影響を及ぼすリスクがあります。加えて、サービス提供者のサーバーが故障してしまうと自社もそのトラブルに巻き込まれてしまいます。
ハイブリッドクラウドとは?
ハイブリッドクラウドとは、社外のサービスを利用するクラウドと自社のオンプレミス、自社内だけで使えるプライベートクラウドなどを組み合わせたものです。
ハイブリッドクラウドを採用していると、一般的な情報の管理やサービスの利用やクラウドで、機密性の高い情報はセキュリティ能力の高いプライベートクラウドや、自社で管理するオンプレミスで扱うといったことができます。
また、全ての設備を自社でそろえるオンプレミスよりも低コストで利用できるため、重要情報を守りつつコストを下げるための方法の一つとして注目されています。
しかし、システムが複雑になって運用しにくくなることや、クラウドやオンプレミスに詳しい担当者が必要となるなどのデメリットがあります。
まとめ
今回はオンプレミスのメリット・デメリット、クラウドのメリット・デメリット、両者の良いところを組み合わせたハイブリッドクラウドの内容について紹介しました。どの方式も一長一短ありますので、自社のおかれている情報や取り扱っている情報を踏まえ、どの方式を採用するのが自社にとってプラスになるのか、しっかり考えて選択したほうがよいでしょう。