運用するサイトの通信速度が遅くなってしまったり、アクセスができなかったりといった問題が生じる理由の1つに、バーストトラフィックが挙げられます。この記事では、バーストトラフィックとは何か、問題が生じる原因や対策について解説します。ぜひ、システムを運用する際に注意するようにしてください。
バーストトラフィックとは?
バーストトラフィックとは、瞬間的に通信量が急増し、ネットワークやサーバに大きな負荷がかかる現象を指します。この結果、ネットワーク帯域の過負荷、通信遅延、システムの一時的な処理能力不足などが発生し、最悪の場合、サービスの提供が困難になる可能性もあります。
とくに、クラウドサービスやビジネスアプリケーションを利用する企業にとって、ネットワークの遅延は顧客へのサービス提供に重大な影響を及ぼす可能性があるため、事前に問題となる要因を考えておき、対策を講じておくことが必要です。
バーストトラフィックはなぜ起こる?
バーストトラフィックへの対策は、ネットワーク環境の安定性を保つ上で極めて重要です。しかしその前に、まずバーストトラフィックが何であるか、そしてその発生原因が何であるのかも理解することが必要です。原因は多種多様ですが、ここでは特に注目すべき4つを挙げます。
ユーザーの一斉行動
大規模イベント時など、多数のユーザーが一斉にネットワークを使うことで、問題が発生する可能性が高まります。例えば、新年の挨拶メッセージのような大量のデータ送受信が一斉に行われたり、災害時の安否確認をしたりといった予測不可能な状況でも発生します。
また、クライアント端末のOSアップデートやファイルの大量アップロード、始業時に多くの社員が同時に社内システムへアクセスすることなども、問題を引き起こす可能性が高くなる要因です。
クラウドサービスの利用増加
クラウドサービスはどこからでもアクセス可能で、利便性から利用者数が増えています。しかし、利用者が増えるとアクセスの数も増え、同時アクセス数が急激に増えることで、問題を引き起こす可能性が高くなります。
通信データが大きくなっている
パソコンやスマートフォンの性能向上、クラウドの普及などにより、ネットワーク上で取り扱うデータの量は増加傾向にあります。特に高画質の画像や動画など、データ量の大きい情報が増えたことで、ネットワーク上でのデータ流れが増加し、バーストトラフィックを引き起こす可能性があります。
使用しているネットワーク機器が古い
情報量が増える一方で、大きくなった情報量を処理できるだけのネットワーク機器を使用していない場合、問題が発生する可能性が高くなります。ネットワーク機器の性能は、情報量の増加に伴い、定期的に評価し、適切にアップグレードする必要があります。
バーストトラフィックを防ぐためにできること
バーストトラフィックの発生を防ぐためには、サーバーの強化、適切な設定、そして高性能なネットワーク機器の利用が求められます。ここでは、3つの対策を紹介します。
システムの適切な回線速度を理解する
バーストトラフィックを回避するには、まずシステムが必要とする回線容量を正確に計算しておくことが重要です。ユーザー数やデータ量、サイズ等を把握し、システムの需要を正確に予測することで対策が可能となります。とくに重要なのは、システムが稼働し始めた直後ではなく、数年後の需要を予測することです。長期的な視点を持つことで、問題の発生を事前に防ぐことが可能になります。
帯域幅が広い方式を選択する
バーストトラフィックの発生を抑えるためには、ネットワークの帯域幅を広げることが有効です。具体的には、IPoE方式を導入すると良いでしょう。ネットワーク機器から直接インターネットに接続できる方式で、通信量が大きくなった時もスムーズな接続が可能です。対してPPPoE方式は、ネットワーク終端装置を経由してインターネットに接続する方式で、通信量が大きくなると問題が発生しやすいです。
高性能な機器を使用する
最後に、バーストトラフィックを防ぐためには、高性能なネットワーク機器の導入も効果的です。トラフィックが急激に増えた場合でも、ネットワーク機器がそれを処理する能力があることを確保できます。ネットワーク機器は、システムの要件に合わせて選ぶことが重要で、その際には機器の性能と必要な容量を見極める必要があります。
まとめ
バーストトラフィックとは、短時間に大量のデータ転送が発生し、ネットワークに大きな負荷をかける現象のことです。発生する原因としては、大規模なユーザーの一斉行動、クラウドサービスの利用増加、通信データの増大、使用する機器の古さなどが挙げられます。防ぐための対策としては、システムの必要とする回線速度を正確に理解し、予測を立てること、帯域幅が広い方式を選択すること、高性能な機器を使用することが重要となります。適切に対策を行うことで、バーストトラフィックの発生を防ぎ、ネットワーク環境の安定性を保つことが可能です。