法人向けインターネット回線は、大容量データの取り扱いが多い企業にとっては、選ぶ際に頭を悩ませるポイントでもあります。自社にぴったり合う回線はどのように選ぶべきか、当然値段にも関係して来るため慎重にならざるを得ないでしょう。また、高額プランを契約すれば本当に大容量データが送れるようになるのか、その実力についても不安があります。実は難しい法人向けインターネット回線の選び方について解説します。
業務用インターネット回線には大きな違いがあります
法人用、法人向けと言われるのは、業務用インターネット回線です。この回線には一般家庭用のインターネット回線とは異なる特徴がありますが、まず大きな違いとして「固定IPアドレスが与えられる」という特徴が挙げられます。IPアドレスというのはインターネットにつながる機器に割り振られる識別番号で、インターネット上で通信機器同士が情報をやりとりするときに送り手と受け手を定義するものです。
一般家庭用のインターネット回線ではこれが固定化されず、接続するたびにIPアドレスが別のものに変わってしまうためセキュリティー性を確保することが難しくなります。 離れた地域に拠点を持つ企業の場合、社内で送受信される機密情報も第三者が抜き取れないようVPNというセキュリティー網でつなげますが、そもそもつながる通信機器のIPアドレスが固定されていないと接続ができません。
業務用インターネット回線は、会社のホームページやWEB上の店舗などを自前のサーバーで運営する場合には必要不可欠ですので、IPアドレスが固定化され、ユーザーが安心してサービスを利用できる業務用回線は事業にとって必要不可欠です。また、領収書も発行されますので経理もスムーズでしょう。
容量の面より注目すべき点があります
結論からすると、「共有型」であれば容量の面や通信速度の面で言えば、業務用も家庭用も差がない時代になっています。プランも選ぶことができますので、もし大容量を送れない格安プランで契約すれば、例え業務用回線でもつねに容量問題で悩まされることになります。つまり容量問題があるなら、自社に合うプランを選んで契約する以外に方法はありません。どんな業務で、何個の通信端末を、いつどれくらいインターネットにつなぐのか、それを計算し、余裕を持ってまかなえるプランを選ぶ必要があります。
つねに大容量を送受信する必要のある会社の場合、混み合う時間帯を避けるため複数の回線を引き込み、リスク分散する方法も取られています。ただし引き込みには回線工事が伴いますので、後で内容を換えたいといった際には無駄な経費がかかりますので、あらかじめしっかり選ばなければならないことに変わりはありません。
ただし、混雑の影響を受けにくいサービスやプランがあるのも業務用インターネット回線の特徴です。多くの法人が要望するように、個人利用の動画配信や音楽配信サービスの影響を受けずに利用できるよう、個人向けトラフィックと企業向けトラフィックを論理的に分離するサービスなども登場しています。いずれにしても、業務用回線を選ぶ理由は容量に重きがあるわけではなく、セキュリティーを高めること、安心して事業をおこなえる環境を整えることだと認識しましょう。
どのようなことに注意して選べばいいのでしょうか
現在非常にたくさんのインターネット回線サービスがあり、選ぶ際に悩むのも無理はない状況となっています。品質を左右するのは回線のタイプですので、法人ならベストエフォート型と帯域保証型についても知っておいたほうがよいでしょう。ベストエフォート型が提示する数値は理論値であり、最大限近づけるよう努力するとは言え実際の通信速度が速いとは言い切れません。
帯域保証型は提示する数値が出るよう一定部分を保証するというサービスですが、速度低下を考慮しながら余裕を持った設計をおこない、足りなければ増強が必要なためコストがかなり高くなります。安定した通信を確保するには持続的に高速通信ができなければなりませんので、例え瞬間的に高速通信ができたとしてもあまり意味はありません。
選ぶ際には最大速度にあまり気を取られ過ぎず、実質を見る必要があります。また提供エリアにも注意が必要で、オフィスがエリアに含まれていなければ、こればかりはどうしようもありません。ときにはかなり大都市でもエリア外というサービスもあるため、拠点の多い会社は必ずすべての地域をチェックしましょう。
法人であればきちんと必要なコストをかけて、専有型や帯域保証型などのサービスを選択するのがおすすめです。専有型は、光ファイバーを分岐・共有せず、1本をそのまま1社へ提供するタイプです。こうすれば他のユーザーの影響を受けにくく、持続的に高速通信ができる環境が得られるでしょう。
法人向けインターネット回線は、IPアドレスが固定されるため高いセキュリティーを保つことが可能であり、領収書の発行もできるため経理処理もスムーズです。
容量に関しては業務用・家庭用問わず契約プラン次第ですが、大容量の送受信が可能なプランであればもちろん可能です。ほとんどが光回線ですが、法人であれば1本の光ファイバーを分岐させるのではなく、そのまま1社へ提供される専有型がおすすめです。帯域保証型であれば一定の速度が保証されるため、少々コスト高ではありますが、そちらも検討するとよいでしょう。