近年、さまざまなインターネット回線業者があります。料金や特典など、業者によって異なるため選択するのも容易ではないでしょう。今回は、法人契約と個人契約について解説します。法人であれば必ず法人契約を結ばなければいけないのか。法人契約と個人契約の違いはなにか。自身の事業にはどちらの契約が適しているのか。それぞれ解説します。
個人契約と法人契約の違いについて
事業者によって、契約内容や提供されるサービスの内容は異なります。とはいえ、個人契約と法人契約の大まかな違いはどの事業者であっても同じです。まずは個人契約と法人契約の違いについて知りましょう。
固定IPアドレスが取得できるかどうか
インターネットでWEBサイトを閲覧したりメールを送受信したりする際、データの送信元や送信先を識別する必要があります。この識別に使用されるのが、IPアドレスです。個人契約では動的IPアドレス、法人契約では固定IPアドレスが振り分けられます。たとえば会社のデータにアクセスできる権限を指定されたIPアドレスのみに限定すれば、不特定多数のインターネット機器からのアクセスを遮断することが可能です。固定IPアドレスが振り分けられる法人契約は、個人契約よりもセキュリティ強化に適しているといえます。
サポート体制が充実しているかどうか
法人契約では、個人契約にはないサポート体制が整っています。会社情報を扱う際に安心できるセキュリティサービスだけでなく、インターネット回線トラブルへの迅速な対応など、ビジネスへの損失を大幅に軽減できるサポート体制です。会社専用の回線を設け、アクセスが集中した際の通信速度の低下を防ぐこともできます。一方、個人契約ではインターネット回線を複数のユーザーで共有される契約です。つまり、法人契約は業務をスムーズに行う観点からみて優れているといえます。
法人契約は無理に契約しなくてよい
法人契約は、株式会社・合同会社・個人経営者のみ結べる契約です。とはいえ、該当者すべてが個人契約ではなく、法人契約を結ばなければいけないかというと、そうではありません。当然、法人名義で契約したい場合は法人契約を結ぶ必要はあります。しかし、事業内容や従業員数によっては、個人契約のサービス内容で充分であるケース、法人契約のサービス内容が過剰であるケースが考えられるでしょう。自身が展開する事業内容は、法人契約か個人契約かどちらが適しているかを見極めて契約することをおすすめします。
ただし、法人契約を結んだからといって、必ず固定IPアドレスが提供されるわけではありません。契約プランやインターネット回線業者によっては、提供される固定IPアドレスの数が少ないことも。法人契約だからといって、契約プランの内容の確認を怠らないようにしましょう。とくに低額の法人契約であれば、回線速度が速くないプランや回線の提供タイプが共有型であるケースも多いです。業務効率と回線速度が直結することが考えられる際は、回線速度に「帯域保証」「帯域優先」が付与されている契約プランや、回線の提供タイプが専有型である契約プランを選びましょう。
状況・事業規模に合った選択をしよう
後悔しない、無駄にならない契約を結ぶには、自身の事業内容・事業規模を把握することが重要です。以下のポイントを参考に、選択してみてはいかがでしょうか。
テレワークなどの遠隔作業が行われるかどうか
テレワークや出張などが考えられる事業であれば、固定IPアドレスが取得できる法人契約がおすすめです。外部からのセキュリティ強化のために、特定のIPアドレス以外からのアクセス制限を設けることができます。
通信速度や通信状況が事業効率に直結するかどうか
つねにインターネット回線を利用する事業内容であったり、インターネット回線が使用できなければ業務ができなかったりする場合は、個人契約では不充分である可能性が高いです。インターネットには、物理的・システム的なトラブルがつきものであるため、サポート体制が充実している法人契約が適しています。たとえ契約料金が安価であったとしても、トラブルによって契約料金を上回るような大きな損失がうまれる可能性もゼロではありません。
事業所を移転する可能性があるかどうか
法人契約・個人契約を問わず、インターネット回線には対応エリアがあります。事務所や店舗を移転した先が対応エリア外であった場合、使用できません。もし事務所や店舗を移転する予定があるのであれば、対応エリアが広い回線業者を選択するのがおすすめです。移転手続きの費用・開通工事費なども含めたうえで、法人契約や個人契約かを選択しましょう。
まとめ
個人契約と法人契約の違いについて解説しました。法人だからとはいえ、必ずしも法人契約の契約プランが適しているわけではありません。自身の事業内容や事業規模に応じて適切な契約を選択する必要があります。誤った選択をしてしまえば、提供されるサービスが過剰であったり不充分であったりする恐れもあります。紹介したポイントを参考に、自身の事業内容・事業規模に適した契約プランを選択しましょう。